【Episode45】3歳7ヶ月 グアム(南の島)旅行〜ツールとしての英語〜

息子がインターに通っていると周りからはいろいろな反応があった。それに対しては、“反論”したり、“だったら、日本の学校はどうなのよ?”と言い返したりしないという覚悟をしていた。質問には答えるけれど、議論・反論、そして説得は、“いたしません”というスタンスを貫いた。「日本語の習得が先でしょ」とか、「英語が話せてもそれ以外ができないとね」などと言われるたびに、心を無にして「仰る通り。頑張ります!」を繰り返すのみだった。でも、心の中では、解っては貰えないだろうけど、「英語を“外国語”として学び、将来留学して英語力を伸ばす」のではなく「子供の内に英語を“第2言語”として習得してバイリンガルになり、子供の時から海外の価値観、文化も理解し、共感する」ようになって欲しい、そのために頑張っているんだと叫んでいた。このころ息子は、九州(両親の出身地)のインターに通っていた。東京と違って外国人が圧倒的に少ない。東京は外国人が多いだけでなく、海外勤務経験者や国際的な仕事をしている人が多いからだろうか、英語教育に関する関心やレベルが高いようだ。その東京でもインターに通う日本人は珍しい。そんな九州でインターナショナル・スクールに通う日本人は奇異に見えたのかもしれない。
息子はこの「南の島」旅行の間はずっと現地の人々と英語でコミュニケーションをとっていた。メニューを見て、食べたいもの、飲みたいものを自分でオーダーし、プールやホテルスタッフとのやり取りも英語で問題なくやっていた。日本語を介することは一切なく、正に“外国語”としてではなく、“第2言語”として使い始めていた。そして、この間、私は周りからのいろいろな反応に対応する必要もなく、のんびりと過ごすことができてよかった。
息子が“第2言語”として英語を使うことが出来るようになったことで、良かったと思ったことは、日本語/英語に関係なく情報を取ることができて、興味をもった様々な事象・意見を早く、そして広く学ぶことができたこと。そしてそれに十分な時間を掛ける余裕があったこと。振り返ってみて、父・母は中学・高校・大学時代に一体どれだけの時間を英語学習に費やしただろう?息子はその時間をほかのことに使うことができたのだ。もちろん日本の義務教育、高校、大学は充実した教育環境だけど、海外で発信されたオリジナルの情報をそのまま英語で理解するのと、翻訳されたもので学ぶのではスピードも違えば正確さも違う。息子にとって、英語は勉強する対象(教科)ではなく、多くのことを早く、正確に学ぶためのツールだった。
今や5Gのサービスも順次開始。動画共有サイトや、動画配信等のツールが更に快適に使えるようになってくる。外国人が周りにおらず、ネイティブの英語に触れる機会が極端に少なかった私の世代とは違い小さいうちからネイティブの英語に触れられるようになった。更には息子がプリスクールやインターに通っていた頃にはなかったツールも増えている。様々な形でネイティブの英語に触れて育った子供たちが増えていけば、学校で教える英語の内容も変わっていくのだろう。私の知人のご子息は、息子の8歳下の中学生だけど、学校の英語の授業はネイティブによるオンライン授業らしい。オンライン授業は始まったばかりで、良し悪しも当然あるだろう。ただ、ネイティブの授業を毎日受けられるならば素晴らしいし、日本人の英語教師がそれをサポートすれば更に充実したものになるだろう。英語を翻訳しないでそのまま理解し、英語で表現できるようになれば、もっともっと世界が広がるだろうなぁ。