【Episode137】9歳11ヶ月 英検にチャレンジ

そろそろインターから日本の小学校への転校を考え始めたこの時期、息子に英検を受けさせてみることにした。インターの先生から息子の英語力は「ネイティブと遜色ないレベルです」と言われても、英語が苦手な私達夫婦はピンと来なくて・・・。ただ、息子の英語力がどの程度なのかを知るための手段として、英検しか知らなかったので、「英検1級チャレンジ」という迷宮に迷い込んで、後に息子からブーブー文句を言われることになったんだよね。
これは後のEpisodeで触れるとして、まずは、英検2級にチャレンジ。何故2級からスタートしたのか?今となっては思い出せない。“とりあえず取得しておきました”というレベルで申し訳ないんだけど、夫は4級、私は3級ホルダー(ホルダーって言うほどじゃないけど、この言葉使ってみたかったの)で、“息子の英語力は私達夫婦より確実に上よね”と思ったからだと思うんだけど・・・。一次試験の前に一度だけ過去問に取り組んでから本番のテストを受けさせたところ、比較的高い点数でクリア。二次試験は面接。私も夫も英検2級は受けたことがない未体験ゾーン。対策もできなければ、どんな感じの面接なのかも教えてあげることができない。「ゴメン!ぶっつけ本番で自力でやってきて!」と送りだすしかなかった。二次試験を終えた息子の最初の言葉は「お母さん 次は1級がいい」と。理由を聞くと「僕の面接の担当の人は日本人のおばちゃんやったけど、おばちゃんの話す英語のアクセントがすごかった。1級の面接担当者のリストをチラッと見たら、外国人の名前が多かった。僕は外国人との会話のほうがいい」だって。要するにジャパニーズイングリッシュは聞き取りにくいということなのね。“母も父も、そのジャパニーズイングリッシュなんだけど、やっぱり分かりにくいんだ”とガッカリしてしまい、息子に英語で話しかけるのがますます嫌になっちゃった。二次試験もパスして、英検2級に合格したけれど、英検でこんなに息子との距離感を味わうなんて思いもしなかった。ただ、息子のこの発言をキッカケに、“今のうちから様々なアクセントに慣れておくのもいいかな”と思って、NHKワールドニュースを見せ、いろんな国の英語に耳を慣れさせるようにした。私も夫もジャパニーズイングリッシュしか話せないけど、息子が通うインターにはいろんなアクセントで話す生徒がいるからね。日本だって方言があるし、方言がよくわからないからってコミュニケーションするのに二の足を踏んじゃうって勿体無いよ。こんな経緯でアクセントに慣れさせるために見せ始めたNHKワールドニュースは、結局CNN student news(現CNN10)と併せて高校卒業まで、ほぼ毎日見てました。海外の同年代の様子や様々な国のニュースを英語で知ることができるし、同じニュースでも見方が違う。日本のニュースからだけではなく、多くの国のニュースから“今”を知る機会になる良い習慣になったよ。
そういえば、英検二次の日本人面接官が話す英語はネイティブっぽくないので、その対策としてわざわざ日本人の先生に英語を習ってテストに臨むなんて話を聞いたことがある。なんだか本末転倒のような・・・。耳を慣れさせる程度は良いけど、英語力自体が上がれば対応できる問題だと思うな。そもそも、英語力を上げるのが目的だろうに・・・。
この年もインターが夏休みの間は日本の公立小学校&英語のマンツーマンレッスン。4年生ともなると“学校でもちょっと勉強をしています”という感じになった。1学期末だったので、息子が通った1ヶ月ちょっとの間は授業より各教科のテストが多く、宿題もテストの予習ばかり。算数・理科・社会等はテストの前の日に教科書を開いて目を通すくらいでよかったけれど、大変だったのが国語の漢字の書き取り。漢字のテストのために、1学期に習った漢字すべてをノートに書く宿題が1週間続けて出た。“日本の学校らしい”宿題も経験するいい機会になったかな。
インターでは同級生とは英語でコミュニケーションするので気がつかなかったけれど、日本の小学校に通って日本語を話すと、家で私や夫と会話している時とお友達と会話をしている時とでは、言葉使いが違うようになった。授業参観の時、休み時間の様子を見ていたら、家では君付けで呼ぶお友達のことを、学校では呼び捨てや“おまえ”呼ばわり。しかもお友達の前では自分のことを“オレ”なんて言っている。初めてそんな言葉使いを聞いてちょっとビックリしたけれど、4年生にもなればそういう言葉を使っている男の子がたくさんいると思う。それを“格好いい!”と思ったのか、“周りの男の子に合わせた言葉使いをしよう”と思ったのか定かではないけれど、息子の場合、定着にはもう少し時間がかかりそう。意識して使っているせいか「おまえ」って言う時に声がうわずっているんだもん。お友達に「○○しろ」なんて命令口調で言ったあとに、“しまったぁ。お母さんがそばにいたよ”なんてバツの悪そうな表情を浮かべて、コッソリ私の様子を確認したりなんかして。なんだか一生懸命背伸びして言葉を選んでいるところが逆にかわいくってしょうがない。言葉遣いに関しては、まだまだ方向性が定まらず迷走中だったけど、「リーダー」を常に意識した行動をしていたので、インターでも日本の小学校でも息子の評判は何だかすこぶる良かった。家での様子は小さい頃とあんまり変わらず、ホンワカしてたから、インターや日本の小学校での息子の様子を聞くたびに「ホントにうちの子の話?」って聞き返すことが多かったなぁ。“もう父や母の前で見せる表情と、学校で見せる表情は大きく変わっているのね”とつくづく感じてしまった。そんなことを考えると、わが子の成長がうれしいような、淋しいような、複雑な気持ち。
理科の実験教室は、体験会に行ったらすっかり気に入ってしまって、“ソフトボール、インターの放課後の様々な活動・・・、ますます時間が足りなくなってしまうよ〜”と思いながらも入会。でもね、日本の小学校に通っていないので良い機会だった。実際、この年、日本の小学校に通った時に、理科の授業で実験教室でも使ったビーカーやフラスコを使ったし。中学2年の時に息子が選抜・参加した「創造性の育成塾」には、この理科の実験教室出身の生徒がもう一人選抜されたんだよね。九州の片田舎で、同じ理科の実験教室に通っていたふたりが、首都圏の別々の中高一貫校に進学し、中学2年の時に「創造性の育成塾」で再会して、当人たちは喜んでいたけれど、全国の中学2年生から選抜されるのは40名程度なのに、そのうち2人がこの理科の実験教室出身の生徒って凄くない?どこかの塾の進学実績より地味にスゴイかも?