【Episode126】8歳5ヶ月 Ball Play禁止!〜Answer is variable〜

冬休みに入る少し前のこと。息子が「お母さん 休み時間にBall Playができんようになっとうと…」と悲しそうに言ってきた。理由を聞いたところ、子供達がキックベースやサッカーなどのBall Playをしている最中の喧嘩が絶えないので、その仲裁に入る先生のストレスになっているとのこと。どうやったら喧嘩をせずにBall Playができるか、その解決策をみんなで考えてまとめ、冬休み明けに先生に報告。先生が報告に納得できればBall Playを再開できるということだった。それを聞いた私は、息子には申し訳ないと思いつつ大笑い。一方、キックベースやサッカーやバスケットボールをしにスクールに行っているようなものなので、これは息子にとっては大問題。Ball Play中の喧嘩に限らず、小さなゴタゴタから大きなゴタゴタまで、それをひとつひとつ仲裁をしている先生の方に私は同情。ストレスも溜まるよね。私だったら“Ball Playは今後一切禁止”と言いきってしまうところなのに、“冬休みまで”と期間を設け、解決策を考えさせるなんて、「とっても寛大な措置をとったものだと感心してしまった。私にはまったく存在しない“大人の余裕”だ」なんて、当時は思っていたけど、やっぱりこういうところ、私は好きだな・・・。
息子は3つのプリスクール・インターに通ったけど、校則が一切なかった。代わりに無茶苦茶多かったのが、問題や困り事が起こると生徒が話し合う機会。リーダーを巡って息子が同級生とトラブルになり、その日全てのRecessがTime outになった時も、担任はクラスで問題提起をした(Episode110参照)。今回も、みんなのトラブルを仲裁する先生が困っているから「どうしたら良いかみんなで話し合って」と。もちろん、相手を侮辱したり、暴力を振るったりしたら、校長室に連れて行かれお説教を受けると同時に、親もすぐ呼ばれて子どもと一緒に早退させられる。こういう毅然とした対応に私はとても納得していた部分。一方でそれ以外のことは生徒が決めていくんだよね。だから、自分達でリーダーを決める。生徒ひとりひとりが“リーダー・リーダーシップとは?”を考え、Student councilに立候補したり、投票したりする。自分達で決めたStudent councilだから、彼を中心にとことん議論して決まったことには従う。日頃からみんなが意見を考え、議論することがとても多いのは、それらを通して、誰がリーダーに相応しいか考える良い機会にもなっていたと思う。
授業もそう。先生は「正解がわかる人」とか「意見がある人」なんて聞き方をあまりしない。mathの計算では正解を出すけれど、同時に「○+□=10」という問題や、「どうして1+1は2なの?」という問題があって、特に「どうして1+1は2なの?」という問いに、先生は「正しい答え(模範解答)」を示すことがなく、自分なりに考えて説明し、それが出来ていれば全て「正解」としていた。“1たす1は2”と覚え、理由なんて考えたことがないし、模範解答を追い求め、時にそれを暗記した私は、このような宿題に戸惑っていたけど、海外の方にとっては普通のことみたいね。加えて、インターや中高のネイティブの英語の授業では、教科書ではなく、本を1冊丸ごと使ってたの。1冊に1学期かけることもあって、背景を理解するため、社会や理科の内容にまで広げて学習したり、疑似体験したりしながら深く読み込み、感想や意見を発表し、ディスカッションもしてた。日本の教科書には作品の抜粋が載っているし、授業は「局所的な理解を深めて正解を求める作業」だったので、小さい頃から違和感を覚えていていた私にとって、1冊丸ごと読み込み、人の意見を聞いて理解を深める一方で、その意見を集約しない・模範解答を示さないというのは目から鱗。早期英語をしている皆さんもお気付きかもしれないけれど、英語の教材って“Answer is variable”がすごく多いと思いません?今はアクティブ型ラーニングが増えているようだけど、40年も前に暗記型の学習しかしてない私は、インターの“Answer is variable”の課題にアップ アップ。こういうコメントをしても、私がそうだったように、日本の教育しか受けてない方にはなかなか理解しづらいと思うけど、インターナショナルスクールの日常においても、授業においても“Answer is variable”が浸透していて、息子に妙な羞恥心がつく前にエレメンタリーでこれを経験しておいて本当に良かったと思っている。正解を求めるから、間違えると恥ずかしいという気持ちになるし、ひとりひとり考えや意見があるのは当然だから、「意見がある人?」って聞くのは、確かに何だかおかしい。自分達が決めたルールではないから、不平不満がでるし、守る意識も薄い。インターでは、自分達で決めたリーダーだから従う。自分の求めるリーダー像と一致する(近い)のは誰か?を考える機会が多いのもインターならではだと思う。
インターでこれだけリーダーシップやリーダーを意識していた息子が、日本の中高一貫校に進学すると、生徒会には立候補しないし、そんな活動をする人に対して「何を好き好んで・・・」みたいになっちゃったんだけど、インターではリーダーになる=皆に尊敬される存在だけど、日本は「係」の延長に近い感じがてたんじゃないかしら?だから“創造性の育成塾”や“オックスフォード大学のサマープログラム”では、とても張り切っていたし、充実していたんだよね。しかもオックスフォード大学のサマープログラムではリーダーシップコースを選択していたし・・・。こういうことって、ずーっとインターに通っていた人にも、ずーっと日本の学校に通っていた人にもわかりずらいことだと思う。日本の学校しか知らない私は、インターに通った息子を通して、自分なりにインターと日本の学校の違い認識していったんだけど、息子は今どう思っているかなぁ?聞いたことはないけど、「自分の子供にもインターのエレメンタリーに通わせたい」と言ってるから、私と似たようなことを感じているのかもしれない。
さて、冬休みが終わってスクールに通いだして2~3日経った頃から、息子のズボンのポケットの中にスライディング時の大量の砂が入るようになった。話し合いの末、「もう喧嘩はしません!喧嘩や言い争いをしたら、その休み時間にはBall Playをしません」とルールを決め、先生に伝えたらOKが出たみたい。「本当にもう喧嘩してないの?」と私が聞くと「うん」と言いながら息子の表情は微妙。突っ込んで聞いてみると、やっぱり喧嘩や言い争いはしょっちゅう起きているけれど、先生に喧嘩をしているところを見つかると、またBall Playができなくなるので、喧嘩や言い争いが起こると、他の子が直ぐに止めに入るし、当事者もジャッジを譲り合うようになったらしい。ったく最初からそうやっていれば先生のストレスにもならなかったのよっ!“禁止令”がでるまで気が付かないなんて遅いっ!「僕は喧嘩してないもん」なんて言っていた息子だけど、言い争いは頻繁にしていたはず。お母さんは、あなたが特にスポーツに関する勝負事で相手に譲る姿なんて見たことがないっ!この機会にあなたもしっかり反省すべし!!