【Episode119】8歳 Grade3進級〜spelling test対策は母の発音テスト?〜

Grade3の担任の先生はカナダ出身で、先生の息子さんがひとつ上のGrade4に在籍しているママさん先生でした。息子が通ったインターでは先生のお子さんが同じインターに通っているというのが結構あって、前の年はこの先生が息子さんのクラスを受け持っていたんだけど、息子さんがうっかり「mommy」なんて呼んでしまうこともあって・・・。ママより息子さんが慣れるまでに時間がかかってしまうけど、こんな光景にはみんな慣れていたのよね。
この年は学年が変わってもクラスのメンバーは前と一緒。出ていった子もいなければ、新しく入ってきた子もいない。他の学年はチラホラ出入りがあるのに、インターに通っていた期間を通して、息子の学年は何故だか出入りが少なく、クラスの人数も少なかった。こうなると同級生というより、ファミリーのような存在だったので、兄弟のいない息子にとっては有り難かったな。
Grade3になった途端、スペリングの単語は私が見たこともないものが増えたし、量も増えた。算数も単純な足し算・引き算から文章問題や位取り・四捨五入の概念なども加わってきた。もちろん“answer is variable”の問題も相変わらず私の頭を悩ませていた。この頃、私がアレルギー反応を起こしていた宿題は本の内容について答える問題。まず書いてある文章が長いし、難しすぎて本を読む気持ちも萎えてしまう。つい2・3年前は絵本を読んでいたのに、今は文字が多すぎるっ!本を読んでいないので、問題の意味もわからないし、ほとんどが記述して答える形式なので、もうお手上げ。せめて○×式とか、選択式の答えにしてくれればいいのに・・・、なんて考えるけれど、もともと本の内容が理解できていないので、○×式でも間違えてしまうだろう。サイエンスのデッカくて分厚い図鑑を持ち帰ってきて、今週のspelling wordsについての記述をその図鑑で探して書き出すという宿題もあった。息子は図鑑なのに文字ばかり?の本を読んでは黙々と文章を書き出していた。そういう教科横断的な学習もインターの魅力のひとつなんだけど、サポートする私がトホホの状態で・・・。私の仕事といえば、spelling wordsを読み上げることくらい。エレメンタリーでは、月曜日にその週のspelling wordsが配られ、金曜日はspelling testがあった。spelling test対策として、家では私がspelling wordsを読み上げて、息子に書かせていたんだけど、やっぱりRとVの発音はいくらやってもダメ。例えば“Roaring”。どんなに私がRの発音に気をつけて“Roaring”と言っても、息子は“Rolling”と書いちゃう(最初のRは上手く言えてるみたいね)。その週のspelling wordsのチェックをしているのだから、いくら”Rolling“と聞こえても、その単語はその週のspelling wordsは入っておらず、それらしき単語は“Roaring”しかないんだから、息子も親に忖度して(発音が無茶苦茶な親を憐れんで)”Roaring“と書けば良いものを、これみよがしに聞こえたまま書いちゃうんだもの、性格が悪いなぁ。息子のspelling test対策が私の発音テストになってしまってる!結局「Rの方のローリングを書いてちょうだい」なんてワケのわからない指示を出す始末。さっきは「私の仕事はspelling wordsの読み上げ」って胸を張って書いちゃったけど、これじゃ、ひと仕事してくれているのは、私の発音から単語を類推して書かないといけない息子だったかもしれない💦
何度も書いてるけど、こんなに英語が苦手なのに、よく息子をインターに通わせたなぁ・・・、と未だに思っている(息子もそう言ってます)けど、「実はそれが良かったのかな?」と思うこともあるのよね。強がってるだけかもしれないけど、息子を育てていた当時は深く考えずにやっていたことが、子育てを終えて、特に早期英語関係の本などを読んで、息子の英語習得に関して答え合わせのようなことをしていて「なるほど!あれはこういうことだったのね」と思うことが多々あったので、今回ひとつ紹介しますね。
私はインターの宿題に必ず目を通していたんだけど、辞書をひきながらも、私の英語レベルで人に頼らず対応できたのはGrade2くらいまで。もちろん息子は英語脳で考えるのに対して、私は英語を日本語に変換して考え、出た答えを日本語から英語に変換して答えるという、何とも面倒臭いアプローチしかできないから時間はかかっていたけれど。問題や息子の答え・書いた文章でわからないこと、疑問に感じることがあったら日本語で息子に聞いていた。息子は私の質問に英語ではなく、日本語で答えてくれたのよね。息子の学年が上がって宿題や課題がどんなに難しく大変になっても、必ず目を通して確認するのは続け、Projectは日本の小学生には求められないようなレベル・内容だったので、親のサポートは必須というか、Projectで求められているものをしっかり把握しつつ、自分の子どもができうる最大限のことを引き出すべく、親が関わることが大切だと感じていたので、何よりも優先してサポートしていた。
一貫していたのは、インターの宿題にも関わらず、私と息子は英語ではなく日本語でやり取りをしていたということ。単語の意味・センテンスの日本語訳・文章の要約などなど、息子は日本語で私に説明してくれた。修正・追加等は私が日本語で伝えたことを息子が英語に変換して対応していたし、ふたりで考えてもわからない場合は、息子がインターの先生に聞き、それを日本語で私に教えて(説明して)くれた。勿論、日本語でやり取りしてても、インターで学ぶ新しい概念にあたる日本語は英語になってしまうことがあった。例えば「小数点以下をround offする」って感じで。そんな時は、息子に「round offって何?」と聞くと、日本語で「5未満なら切捨て5以上なら切上げる」と教えてくれるので「それは四捨五入じゃないの?」と教えつつ、息子は英英辞典で「round off」、国語辞典で「四捨五入」を調べて理解していった。こうして「round off」は「5未満なら切捨て5以上なら切上げる」というように英語で理解した概念を日本語で説明できるだけでなく、「四捨五入」という言葉も理解して使えるようになるので、日本語と英語が同じようなレベルで同じように伸びていったのよね。日本語で説明できることは英語で説明でき、日本語で説明できることは英語でも説明できていたということ。
インターに通いながら、家庭では日本の小学校の勉強ってどんだけ子どもに負荷をかけるの?って思う方も多いと思うけれど、全てをゼロから教えるなんて、そりゃ無理だよ。息子は英語が苦手な私に、毎日インターでの出来事や学んだことを日本語で話すことで「インターで勉強に使っている英語と同じレベルの日本語を使える」ようになっていくと同時に「知を移転」させていたんだと思う。こうして、日本語と英語の間を知識や概念が行き来する運用ができて、更に3年生頃からはどちらも得意になっていくという相乗効果が出てきた。加えて、息子は就学前からプリに通って英語の運用能力が高く、認知言語能力を英語で獲得できていたみたい。
夫も私もダブルリミテッド(セミリンガル)リスクについてはインターに通わせてから知った。内容的には「インターナショナルスクールに通う→セミリンガル」をあたかも因果関係であるように説明し、「日本語をしっかり身につけてから英語を学ぶべき」と主張して「インターナショナル・スクールに通わせると日本語・英語ともに中途半端な能力しか身に付かない。結果、論理的思考が十分にできない中身の薄い人材となる」という主張と理解した。その主張は、因果関係(皆がそうなる)なのか、相関関係(その傾向があっても皆がそうなることはなく、原因は他にある)なのかが曖昧だと思ったので、夫が大学のゼミで指導頂いた教授に相談したところ、「君、全く論理的じゃないよ。世界にはバイリンガルで育った優秀な学者が多くいるし、むしろ複数言語を同時に学ぶのは普通といってもいいくらいだ」と仰ったの。つまり、インターナショナル・スクールとダブルリミテッドは因果関係ではなく、2言語習得のための対応をきちんとしないことで、「いずれの言語も能力が十分に確立できなかったような場合、抽象概念を十分に理解できず、また論理的思考能力も十分に身につかない」ケースがあるということだと夫も私も理解。
英語は夫も私も英語ネイティブではないので、息子に100%の運用を求めるのは無理。英語の運用能力が充分でない状態で初等教育を受けると、全て吸収できないよね。例えば80%の運用能力しかない英語で、算数の授業を受けても理解は80%を超えることがないってこと。だったら親も子も日本語ネイティブなのだから日本語で100%の学習言語を獲得して、抽象的な思考が出来るようにしようと思い、インターに通わせながら、日本の小学校で習得するレベルの日本語(母語)、論理的思考訓練(特に算数)を家でしっかり時間をかけて取り組んだものの、それだけじゃないとずっと思ってた。3年ほど前に言語の認知能力(CALP)は英語/日本語で転用できると知り「これだったんだ!」と膝を打った次第。
ということは・・・、私が英語が苦手だったことが、結果として息子が均衡バイリンガルになるのにプラスに働いたってことかな?そんな戯言はどうでも良いけど、こういう経験をしたこともあって、私は「日本語(母語)も英語も」と口を酸っぱくして言っています。
日本の学校に通いながら英語は家でするなら、毎日学校で学習したことを英語で話すことで、日本語と英語の相乗効果が期待できる思うけれど、これは英語が苦手な私には難しいな。