【Episode114】7歳9ヶ月 夏休みは日本の小学校へ

この年の春頃だったかな?インターの先輩ママが、インターが夏休み中はお子さんを日本の小学校に通わせていると聞いて、“そんなことができるんだ!”とビックリ。夫に伝えると、「是非うちもそうしよう」と即決。我が家は、インターのエレメンタリーに進むと決めた時から、中学・高校は日本の学校に通わせようと思っていたので、日本の学校に今のうちから慣れておくのは良い機会。問題は息子の反応なんだけど、通っていた体操教室や音楽教室・スイミングスクールに校区の小学校に通うお友達がいたので、息子も「いいよ!」と即答。
もともと小学校入学のタイミングで日本の学校には通わず、エレメンタリー進むと決めた際に、通っていたインターのオフィスの方から、「ちゃんと教育委員会に伝えておいた方が良いですよ」とアドバイスをもらっていた。それで教育委員会に連絡したら、日本の小学校に通わない理由を書いて提出するように言われたの。そこで、英語が苦手な親だけど、海外赴任の可能性がないわけではなかったので“日本人学校のない海外に赴任する可能性もあります。日本語が通じる国内の引越しでも、環境の変化に対応できない場合もあるのだから、海外赴任になった時のことを考えて、せめて言語の壁だけでもないようにしておきたいのです。日本の学校に通いたいのはやまやまなのですが、事情をお察しください・・・”って内容のことを書いて提出してたから、まず教育委員会に連絡。すると校区の小学校に行くように言われたので、校区の小学校に行くと教頭先生が対応してくださったのだけど、いきなり「虐待をしていないかどうか確認するよう教育委員会から言われました」「不登校児扱いとなってます」と仰ったのでびっくり。「お尻はペンペンします」と苦笑いで答えたけど、それを私に言ってどうするんだろうね?「日本語は大丈夫ですか?」「勉強ついていけますか?」「家で日本語や算数は教えているといっても、日本の小学校の授業についていけるレベルじゃないでしょう?」など、言葉の端々から歓迎されてない雰囲気がありありと伝わるけど、ニコニコ笑顔で「ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」。
インターでひとつ下の学年にお子さんを通わせていたママ友も、私の話を聞いて、インターが夏休み期間中にお子さんを地元の公立小学校(息子が通った小学校とは違います)に通わせようと連絡したら、校長先生に「我が校は、日本でトップレベルの小学校ですから、インターナショナルスクールに通ってるお子さんが入ってこられても大変だと思います。」なんて言われたそう。
学校の先生だけじゃないよ。後に息子が入ったソフトボールチームでは、「今は海外旅行に行っても日本語が通じるから英語なんてやってどうするの?」とか、定期的に受けていた塾の公開テストでは、「インターナショナルスクールに通っている子と比べられても」と塾の先生に詰め寄るママさんもいて・・・。“そもそも、義務教育違反をしているんだし、息子ではなく私に言ってくる分には、私が我慢すれば良いだけ”と割り切っていたけれど、さすがに「はぁ?海外旅行先で“日本語が通じる”ではなく、“日本語も通じる”だけでしょ」とか「うーん 多分目指しているところが違うかも」なんて言い返したくなったけど、結果が出てないから説得力もない。この頃には、インターに息子を通わせてると知った時の日本人の反応には私もかなり慣れたぞ。“温かいご忠告”と受け止めて、“さっさとインターを辞めて日本学校に行こう”ではなく、“息子をしっかりサポートしよう”と考えることにした。こういう天邪鬼なところって、自分でも嫌いじゃないよ。やるべきことは考えてやっていたし、国語や算数の公開テストの結果は学年相当だったので、様々な雑音には冷静に対応できたかな?
ただ、小学校入学のタイミングで教育委員会に「日本の学校に通わせたいのはやまやまだけど、海外赴任の可能性があるから仕方がないんです」と伝えておいたのは結果的に良かった。周りのママさんにも、そのように伝えてた。予めそうやって伝えておいたので、インターの夏休みを利用して日本の小学校に通わせる時も「日本の学校に通わせたいものの、親の仕事の都合で息子をインターに通わせている。帰国後の日本の学校生活も息子にとっては大切なので、今できることとしてインターが夏休みの間だけでも通わせて欲しい」とお願いすることができた。日本の学校の先生や周りのママさんに英語教育の必要性を訴えたところで「ハイハイ」と言われてお終いだろうし、言っても仕方がない。大切なのは息子が日本の学校に通える状況にしておくこと。そのために、日本の学校関係者に快く受け入れてもらうこと、或いは歓迎されなくても(いろいろ言われても)、最終的に彼らが「NO」と言いづらい状況を作っておくことが何よりも大事だし、少なくとも息子に何か言ってくる大人はいなかった。
この年は、教頭先生との面談のあと、担任の先生とも挨拶をして、登校開始の1週間前に息子を連れて小学校へ教科書を受け取りに行く約束をした。学校までの通学路を息子に確認させておきたかったので丁度良かった。担任の先生はその際にクラスのみんなに紹介すると仰っていたので、前日に息子に自己紹介の練習をさせたら、「なんか緊張するぅ」なんてガラにもないことを言ってきた。当日も小学校に行くことを思い出しては「あぁー、緊張するぅ」と何回も言うし、ふたりで小学校に歩いて行っているときも「緊張するぅ」と言いながら深呼吸。担任の先生と挨拶して、一緒に教室に入ると、大勢の子供達に面食らってすっかり目が点になってた。息子のまわりに沢山のお友達が集まってきて、「ドッヂボール好き?」なんていう質問をポンポンしてくる。息子はとにかくクラスの雰囲気に圧倒されてしまって、質問には「うん」と答えるのがやっと。初めての日本の小学校でのクラスの滞在時間は5分程で、教室から出て来た息子の表情はビックリしたまま固まってたけれど、帰り道で「ビックリしたけれど、なんとかやっていけそう」と自分から言ってきたので、とても安心したのを覚えてる。
私は教頭先生からいろいろ言われたけれど、現場(息子のクラス)は長閑だったなぁ。結局2年生から5年生までインターが夏休み期間に通った小学校で、同級生や担任の先生からは、息子も私も何も言われなかったし、本当に普通に受け入れてくれたので、とっても感謝してます。最初に通った2年生の時は「不登校児扱い」だったので、通うことになってからクラスが決まり、出席簿の1番最後に名前が手書きで書かれてたけど、翌年の3年生からは、新学期にはクラスも決まっていて、出席簿も50音順通りに氏名印が押されてたので、ホッ!毎年、新学期には担任の先生から電話がかかって来てご挨拶→教科書を受け取りに行ってました。息子が通っていた音楽教室や体操教室には、小学校の同級生がたくさんいて、4月になると「○○(息子の名前)、今年は1組とよ!□□くんや△△さんと同じクラスやけんね」って教えてくれたから、息子も嬉しそうに、6月からの登校を楽しみにしてましたよ。
ところで、小学校からいただいた持ち物リストの最後には“持ち物には全部名前を書いてください”と注意書きがあったんだけど、“まさか色鉛筆やクレヨン1本1本に名前書かないといけないなんてありえないよねぇ。色鉛筆やクレヨンのケースにだけ名前を書いていけばいいんだよねぇ?”と思いつつ、音楽教室の同級生のママさんに確認したら「鉛筆1本1本に名前書いてるよぉ」と当然のように言われてしまった。インターの持ち物には、よく失くすランチボックスくらいしか名前を書いてなかった私。それまでラクしてたんだし、息子が新しい環境に入って行こうとしているのだから、鉛筆一本一本に名前を書くのが煩わしいなんて言ってられないよね。目をショボショボさせながら色鉛筆やクレヨン1本1本にフルネームを書いて、母はミッションを遂行しました。