【Episode100】6歳10ヶ月 サマースクールでトラブル発生②

実は彼と出身が同じ国のGrade2の生徒も彼と一緒になってGrade1の息子達にちょっかいを出していたんだけど、そんな仲間にも彼は攻撃的な態度を取るものだから、彼を怖がって遊ぼうとしなくなったり、彼が仲間に入ってきてもちょっと遊んだら息子達のところに来て遊ぶようになり、「いつもひとりで何かしている」と息子が話していたので、とっても気になっていた。“9月からは彼もGrade4に進級するんだし、今まで力で力で人を制しようとして、結局お友達が自分から離れてしまっているのだから、そろそろそこから何かを学んでもらって、時間はかかるかも知れないけれど自分が変わって、お友達に信頼してもらえるようにならなくっちゃ”と思う反面、英語で上手くコミュニケーションができないが故に態度で示す、そんな彼の心中や抱えるストレスを考えると、息子に彼が理解できる日本語で話すように提案したのは良いとして、「意地悪しないなら一緒に遊ぶ」と言うように話したのは、果たして本当によかったのだろうか?とすごく悩んでしまった。だから、ちょくちょく息子に彼の様子を聞いていたので、息子も私が彼のことを気にかけているのはわかっていたみたい。サマースクールの後半にかかったある日の夜、息子が「お母さん 最近○○(息子を攻撃していた男の子の名前)が僕をいじめなくなった。」と言ってきた。「どうして?」と聞くと「僕、○○がおりこうさんやったら“Good job”って言って褒めてやりようと」だと。その話を聞いて、一瞬ドキッとしちゃった。だって彼より息子の方が年下だから、受け取り方によっては「お前 俺のこと舐めてんのか?」ってなっちゃうと思って。息子が褒めてくれるので、彼は息子だけには優しくなったらしい。悪い方向に行かなくて良かった。でも、よくよく考えてみると「Good job」と声をかけるなんて、声をかけられた方も、かけた方もポジティブになれるから、思いついた息子もGood jobだよ!一方で、「“意地悪しないなら一緒に遊ぶ”っと言ってみて」と息子を誘導した私(前回のEpisode99参照)は「自分は、なんと心の狭い人間なんだ」と。相手を追い詰めちゃいけないよね。
息子が2歳頃、車が全く通らない交差点で信号待ちしていたら、後からやってきた高齢の男性が、躊躇することなく赤信号を横断しているのを目撃して、「信号赤なのに、どうして渡っているの?」と息子が私に聞いてきたの。しかも、信号無視して横断している高齢男性にも聞こえるような声で。「あちゃー・・・」と思いながら、息子には「信号を見落としてしまったのかな?」と答えようとした途端、その男性が踵を返して戻ってきたから、ビックリ‼️“何か言われるんだろうな”と思って、息子を抱えてその場から離れようとしたら、そのおじさん、ニコニコ笑いながらこちらに近づいて来て、「いや〜子供に教えられましたな」と私に言うなり、今度はしゃがんで息子と視線を同じにして「赤信号で渡ったらいけないね。危ないよね」と言いながら、息子の頭をナデナデ。私もそうなんだけど、間違いや過ちを指摘されても認めず、言い訳したり逆ギレしたりする人もいるのに、このおじさんは照れ笑いをしながらも、素直に認めて息子にまでキチンと対応してくれるなんて、ホントに素敵な人。その時、私は“こんな歳のとり方をしたいなぁ。否こんな歳のとり方をするぞ”心に固く誓ったのだけど、いかんせん私が長年かけて心の中に作ってきた器はとっても小さくて、間違いや過ちを指摘されると、速攻でプリプリしてしまう。心に固く誓ったものの、今回のサマースクールの対応の不味さからもわかる、現世の私では器を大きくするのは無理。来世に期待するしかないなぁ。
それにしても、こんな声かけができるようになっていたなんて、ビックリ。ホントに私の子なのかしら?ノーベル賞平和賞を受賞してもいいくらいじゃないかな?
今回のサマースクールの担当の先生で、エレメンタリーのヘッドをしている先生も、ある日の帰りがけに先生が次週の月曜日に持ってくるものを伝えていたら、彼が忘れないようにちゃんとメモをとる姿を見て、「いい考えだ」と言ってみんなにもメモをとることを勧めたらしい。息子からそのことを聞いて、“力や暴力を使ってリーダーになろうとしている彼を否定することはせず、もっと他に方法があるでしょう?”とヒントを与えているんだな、と。
サマースクールが終わり、通常のスクールに戻ると彼はまた問題行動をしばしば起こしていたけれど、息子にちょっかいを出すことはなくなり、むしろ普通に話ができるような関係になっていた。そして、英語でコミュニケーションができるようになっていくと、少しずつだけれど他者への攻撃も減っていった。思いを上手く伝えられなくて、態度で示していた頃の彼が抱えていたストレスは、どれほどものだったんだろうと考えると、胸がチクチク。そんな思いをしているのは彼だけじゃないんだよね。彼のように他者に攻撃的な態度をする子もいれば、自分で抱え込んでしまう子もいるし…。夫が「海外赴任の可能性がある社員の子供達は、希望すればプリスクールやインターに通えるようにして、その費用を会社が負担すればいいのに。そしたら海外赴任になっても、言葉の面だけではあるけれど、子供の負担は減るのにね」ってポツリと言ってたのが沁みる。